白菊は香れる生涯いのち 橘かほり
 
シシリアから 坂道くだ
霞町かすみちょうの 谷のひだり手
わが春に 迷いを語る
菊一輪 聞き入る風で
 
鉢は欠け 転がりたるを
持ち帰り 棚の静寂しじま
たれそ知る その後の日々や
いかばかり 迷ひてはかな
 
今ぞ知る 幼心おさなごころ
白菊は 香れるいのち
歌姫よ 恋路をでよ
孤独寝ひとりねの 夜は時雨れる

             ©JAR.July 21,2024