浪漫絵画の女性像     2024.4.8
 
 現代洋画界で女性のエロティシズムを描く第一人者は誰かといえば、等級分けが必要となる。浮世絵時代においても同じである。そこに醸し出されたエロティシズムは様々で、花魁調では花柳界の玄人世界が目立ってしまう。
 
 ところが今日、若さと美貌の極致となれば、間口は狭まる。かつ気品があり、女性の毒気も感じさせる浪漫調、と注文をつければ、今回紹介する原恭子画伯の作が一番であろう。
 
 筆者は原先生の上品なご性格に常日頃から敬服しているが、ひとたび絵筆を持たせると、かくもしどけない表情の中に、おどろおどろしい毒蛇のような恐ろしさを秘める。今回は皆、目つきや唇の表情を視て頂きたくてアップで掲載したが、女性を取り巻く孔雀の羽根や牙を剥き出す毒蛇の形相にも注目あれと指摘せずにはおれない。作者は気品ある女性。だから筆者はよけい奥に秘めた女性の怖さを感じる。生き物の性の浪漫、その神髄ここに極まれり。傑物である。