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古風な女です  高鳥奈緒   2023.12.7
 
わたし意外と古風な女です
夜なべして手袋を編んでいます
もう直ぐあなたのお誕生日ね
あなたは知らないから驚く顔が見たいのよ
一針、二針と進める指先は
想いを込めながら優しい記憶に浸る深夜
どうか届いて欲しい
 
わたし意外と古風な女です
あなた色の毛糸は癒しの色
編みあがったらその手荒れした大きな手を
この手袋で温めてあげたいの
心はもつれた毛糸玉
うまく伝えたいから
はやる気持ちを落ち着かせて

 
 
もう直ぐあなたのお誕生日
「奈緒から・・・お誕生日おめでとう!」
後ろ手に隠した包みは手編みの手
「わたし意外と古風な女です・・・」
そういって手渡した手編みの手袋
ふと見た彼の手には既に素敵な革の手袋が
マフラーにすればよかったかな
 
悲しい恋の結末ね
古風な女は不器用な女
あなたは苦笑いで優しいわ
言葉じゃ伝えきれないから
不器用なわたしは毛糸と悪戦苦闘
愛は人を変えてしまうのね
こんな自分に戸惑うばかり
孤独なウサギと暮らす女  高鳥奈緒   2023.12.4
 
女は夢を見たけれど
今もひとりぼっち
寄り添う相手は孤独なウサギ
 
今宵もウサギと共に
狭い部屋の中
 
孤独なウサギと暮らす女は
怖がり臆病だから
月を眺めて想像の夢を見る
 
愛した人はもういない
ほんとうは幸せが欲しいのに
 
年の瀬に賑わう街に出ると
孤独をより一層浮き彫りにするから
狭い部屋の中
 
 
ひとりの夜は長いけれど
月夜に乾杯、年が明ける
孤独なウサギと暮らす女は
果てしない 果てしない
勝手に夢を見る
 
そんな孤独なウサギと女の物語
太陽と月は知っている  高鳥奈緒   2023.12.6
 
太陽と月は知っている
いつだって心の奥で泣いていたことを
幾重にも施錠された部屋の中で
ずっと泣き続けていたことを
その痛みに寄り添えたのは
太陽と月だけだったから
 
孤独な心は薄氷の上を歩くよう
下界に出るには時期尚早
薄皮を丁寧に一枚ずつ剝がしていく
少しずつ開放した心の扉
あまりにも無防備で純粋無垢の心は
無菌室仕立てで危険な心
 
一度傷ついた心は被害妄想になり得る
太陽と月は見守るから
勇気出さねば元の木阿弥
さあ、どうする
癒しは自分に与えるものなのに
何故自分を傷つける
 
 
人生は誰のものなの?
自分を犠牲にしてはいけない
君よ、花のように華々しく咲け
この世で一番美しい花になれ
花を咲かす為に生れたのだから
いずれ太陽と月はその花を照らす
虹の橋は自分色  高鳥奈緒   2023.12.6
 
真似ではない自分らしさ
マニュアルなんていらない
オリジナルでいい
次から次へと
無いものを想像していきたい
 
無いものを創造するってとても好きなの
有りそうで無かったものを
いつだって考えている
自分の欲しいものがないのなら
自分の手で作ればいい
 
そうねお気に入りは 自分だけの色
自分色の空 自分色の雲 自分色の歌には
愛おしいものが潜んでいる
胸が鳴って見上げていると
いつも虹の橋が伸びていく。
メリークリスマスの街角で  高鳥奈緒   2023.12.4
 
今年も街はクリスマスの人混み
ふとした瞬間あなたの香りがした
思いがけず貴方の姿を探す街角で
貴方はいないけれど
遠い記憶がよみがえる
 
まるで心は揺れる振り子時計
カチコチ ユラユラ
カチカチ ユラユラ
止まっていた心の時間が動き出す
貴方の優しさ 貴方の温もりも
 
巻き戻した時間を想いだす
あの日のワイングラスに溺れた愛
とけていく、とけてしまいたい貴方の胸で・・・
北風が冷たく吹きつけて
ふと我に返ると何もかもが消えている
 
ポニーテールのほつれ髪に
指を立てた手櫛を濡らす雪しずく
広場には光り輝くクリスマスツリー
眩しくて目を細め
涙を堪えて、メリークリスマス!