悲しみの亡霊さん  高鳥奈緒   2023.8.19
 
悲しい理由がみつからないのに
心が泣いている
瞳もいっしょに泣き出したら
なぜだか少し解かりかけた。
この悲しみは過去たちの亡霊なんだ
私を過去たちの真ん中において
ひそひそと耳元で
囁く亡霊さん。
 
悲しくないよと心が叫んでも
ひたひたひた
亡霊さんが忍び寄って
悲しい気持ちを喉の奥から
引っ張り出して私を見つめる。
去って行ったあの人の眼だ、それは、
もしかして、あの人、もう亡霊さんに…。