夕暮れのひと  北見薫   2023.12.7
 
夕暮れのひとは物静かでナイーブなひと
ガードレール脇を寄り添い歩いた映画の帰り道
高架下のバス停で君とバスを待つ
行き交う車の騒音は二人を無口にしたね
楽しい時間はあっという間
「帰り道は寂しくなるね」と君は呟いたね
それは夕暮れのせいかなと僕は思ったけれど
君の悲しげな横顔が目に焼き付いて離れない
今なら君を離しはしないのに
君の悲しみ僕が受け取れたらよかった
君は何を抱えていたのだろう
僕は鈍感だった、気づかずにゴメン
二度と会えないならきつく抱きしめた
今でも僕の心には君の影を落としている
明日は永遠に続くと信じて疑わなかった
今もこのバス停に君が待っていそうで
僕は一人、夕暮れに立ちつくす
そんな寂しさこみ上げる
夕暮れのひと