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別れのエアポート  高鳥奈緒   2024.2.23
 
1.
後ろ姿が小さくなる
次はいつ会えるのかしら
あなたの背中が悲しくて
たまらなくこみあげて
涙で見えないわ
 
2.
エアポートのデッキで
悲しいときは空を眺める
それが癖になって
どこまでも広がる空の下
あなたと同じ空の下。
 
 
3.
二人だけのラブストーリー
また会う日までの約束を
いま離陸した飛行機が
あっという間に飛び去って
遥か彼方の雲へと消したの
 
(繰り返し)
消したの、飛行機が、あなた、
あなたを祈るなにもかも
消したの、飛行機が、あなた、
あなたを祈るなにもかも
貝になった私の愛  高鳥奈緒   2024.2.23
 
恐れも知らずに、この恋に飛び込んだ
未熟にも愛の海に溺れた私
たったひとり沈みゆく海の底
ゆっくりと、ゆっくりと沈む
報われることもない
哀しく泣きながら
 
愛の海に沈んでいく
それでもなお貴方を祈り
潔く微笑んでみせるのよ
貝になる日まで
これでいいと自分に呟く
貝になった私の愛
春のバレリーナ  高鳥奈緒   2024.1.29
 
すべてが目覚め心弾むよ
花の香りが辺りを漂わせ
景色は色鮮やかに明るく華やか
冬の寒さの中でも下準備している。
 
硬いつぼみが一気にほころんで
今にも咲く時を待つ
それは初舞台の幕のわきで
出番を待つバレリーナのよう。
 
期待と不安に緊張しながら
ずっと練習してようやく本番
ポーズをとって待っている
煌めく世界へと、さあ、いま咲くよ!
 
夢では終わらない
春はバレーの幕開けみたいに
踊りだし歌いながら歓喜に満ちる
春の心は花びら巻いて踊り舞う。
あるく  高鳥奈緒   2024.1.16
 
赤ちゃんのときやっと寝がえり出来て
匍匐前進ほふくぜんしんして褒められ
ハイハイして喜ばれ
立ち上がり、尻餅ついて励まされ
つかまり立ちして嬉しくて
伝い歩きして世界が広まり
そして最初の一歩をあるく
 
結果を焦らずに
物事には順番と過程がある
当たり前のことだけれど
わたしは忘れがち
叱られてなるほどなと
 
親になり子を育てると
いろいろ気づかされ
わたしもこうやって育ててもらった
気付いたときには子らは去り
中途半端な大人になって
あるくこの道茨道いばらみち
 
ひとはあるく
朝露あさつゆ小径こみち茨道いばらみち
泣きべぞかいては励まされ
今日もわたしはあるいてる
天使と悪魔  高鳥奈緒   2024.1.21
 
天使が私にささやく
正しく生きよ
人に真心を尽くせと
 
つまずいて悪魔が現れた
だから信じるなといっただろう
ほら、お前だけ傷ついたと
 
天使は黙って微笑んでいた
先へ歩けばきっとわかるというように
 
私は天使と悪魔をにらめっこさせた
選ぶのは私らしい
天使の微笑みに慈しむのか
悪魔の優しい声に誘われるのか
 
立ち止まって冷静に我に返って
笑顔でいたい!と叫んだら
はっと目が覚めた
明るい窓の光が眩しすぎる日曜日の朝
額には汗をかいている
だけど光に包まれて安堵の心がよみがえった