金木犀の香りの中で  高鳥奈緒   2023.10.20
 
別れたお方を街で偶然みかけた
金木犀の香りの中で
オレンジの夕陽丘
眩しくてよく見えない
目を見張った
 
その懐かしい背中は、確かにあなた
一瞬はっと息を吞む
作業服の肩がほつれていた
そのほつれが気になった...
きっと今は他の誰かが縫ってくださるのね
切なさがはしった
 
時は流れて
あなたの今と未来が
わたしの今と未来に
 
わたしの心はいつまでも
金木犀の花が毎年この季節に咲くように
変わらないのに
運命のいたずらで
金木犀の香りが二人を包み込む街角で