生き別れ  高鳥奈緒   2023.10.24
 
娘三人に恵まれたはずが
引き離されちゃった過去
生き別れって辛い
末っ子はまだ二歳だというのに
 
産後、わたしは不治の病に苦しんだ
仕方なく、泣く泣く娘たちと生き別れ
暗いさだめに泣いた年月は虚しく
 
福島県で育った愛娘たち
震災にも負けずに生きてくれた
すっかり大きくなって大人になった愛娘たち
あれから私も何とか生き延びた
育てられなかった罪悪感と後悔を
胸に抱くけれど
たった一人の母親として接してくれる愛娘たち
 
 
優しい子に育ったね
やはり私は母だと心強く生きる
離れていても娘の誕生日忘れない
大きく立派になったね
写真をテーブルにならべて
「ハッピーバースデー」と一人で呟いた夜
明け方、ドアをノックする音。
娘が三人、立っているはず…
起ちあがると、音はやんだ。