空き地 高鳥奈緒 2024.3.18
空き地でバラ線くぐってすりむき傷
泣きながら大きな水溜まり
おろしたての白いズックも汚れたって
裸足で歩いてズックも失くしたから
母にもしかられたねお兄ちゃん
夏は住宅街の敷地へ探検隊
「蝉をとらせてください」とチャイム音鳴らした
近所のおばさんにアイスもらった
お兄ちゃんを頼りに臆病な私は大冒険
いつだってお兄ちゃんには敵わない
空き地でバラ線くぐってすりむき傷
泣きながら大きな水溜まり
おろしたての白いズックも汚れたって
裸足で歩いてズックも失くしたから
母にもしかられたねお兄ちゃん
夏は住宅街の敷地へ探検隊
「蝉をとらせてください」とチャイム音鳴らした
近所のおばさんにアイスもらった
お兄ちゃんを頼りに臆病な私は大冒険
いつだってお兄ちゃんには敵わない
大人になって、ある日突然
臆病な妹を置き去りにして
お兄ちゃんは振り返ることもなく
逝ってしまった
今日は三回忌
向こうから私を気にしているのかな?
もう私は臆病じゃないよ
私はあの頃より強くなったよ
あの楽しかった空き地も今はないけれど
時は流れて思い出の中で生きているから
いつだってお兄ちゃんに会える
いつまでも、いつまでも消えない