日本浪漫学会主催 第二十五回「浪漫うたの旅」
 
  出雲うた紀行
             日本浪漫学会 岩間滿美子
 
 昔から旅は大きなものを授けてくれると言われていまように、この旅もその通りになり大きな土産を背負って帰って来ることが出来ました。
 ほとんどご縁の無い尼子氏の歴史、足立美術館の思いも掛けない秘密、尼子氏を熱く語る郷土の方々との出会い、R.ハーンの足跡とご子孫の方や関係者の方々との出会い、月山富田城登頂の感激、尼子氏後の松江の城に纏わる歴史、安来の雲樹寺との出会い、松江市役所の危機管理課の方々と面談、旅の宿『竹葉』との出会い等々心に残るものは挙げきれません。
 そして、今回の旅にこうした運びになって行くようにと手配をしていただいた濱野、河内両先生には心より感謝申し上げます。
 また、三日目からご一緒された福田先生には、自らのお車で交通事情のままならない地を回ってくださったことにこの上なく有難いことと感謝いたしております。そして率直かつ明快なご発言に感じ入りましたし、初対面の私の気持ちを汲み取っていたことにも稀有なことと重ねて御礼申し上げます。
 こうした思いの中で、八首詠みました。
  出雲路に散りしもののふ幾多在り
     今も山桜咲て弔う
 
  春の暮れ遠く近くに山桜
     咲き出れどもなおさびしくて
 
  今出雲咲きい出したる桜には
     先争わぬ麗しさ覚ゆ
 
  はるばると月山富田城に登り来て
     もののふの跡なぞりて忍ぶ
 
  連れ立ちて旅行くほどに分け合うは
     真心なりしか思いのたけか
 
  吾こそと騒ぎ立てたる心こそ
     出雲の桜は癒し宥めむ
 
  出雲なる国なかに允つ優しさに
     競い疲るる心癒せと
 
  道化ぶりどぜう掬いに見えたるも
     道化に非ずその技を見せ