短歌詠草 令和二年二月十七日
東京府中 河内裕二
近所の公園の光景もどこか生きづらい世の中に見えてくる。
梅雨時の南風を黒南風といふとか。
黒南風に蓮より落ちる水玉に
揺られし水面鯉が顔出す
暗闇に立つ一本の老木に思いを寄せて
五月闇空き家の庭の老木は
過去見つむるや朽ち果つるまで
濡羽色の鴉は死と再生のシンボルとされている。
路地裏に震えしこゑでなく鴉
黒き瞳に空映りたり
東京府中 河内裕二
近所の公園の光景もどこか生きづらい世の中に見えてくる。
梅雨時の南風を黒南風といふとか。
黒南風に蓮より落ちる水玉に
揺られし水面鯉が顔出す
暗闇に立つ一本の老木に思いを寄せて
五月闇空き家の庭の老木は
過去見つむるや朽ち果つるまで
濡羽色の鴉は死と再生のシンボルとされている。
路地裏に震えしこゑでなく鴉
黒き瞳に空映りたり
花の香りは昔の記憶を呼び戻す。
ジャスミンのかほり残して去りしきみ
春にはわれを想ふならむや
コロナ禍で使用禁止中のグランドを見つめ
雨上がり土の匂ひのグランドに
若かりしわれ握りめし喰ふ
ジャスミンのかほり残して去りしきみ
春にはわれを想ふならむや
コロナ禍で使用禁止中のグランドを見つめ
雨上がり土の匂ひのグランドに
若かりしわれ握りめし喰ふ