誘惑な天使   北見薫   2024.3.6
 
さっきから見ていた君の口元
なんだか色っぽい
惹きつけられる大きな瞳
吸い込まれそうで不思議な感覚
自然と君を求めて僕は壊れそう
その笑顔も、その瞳も、その唇も
今夜こそ僕だけのものにしたい
 
君は僕の誘惑の天使
気取ったセリフ幾つ並べても
薄っぺらじゃだめだ
男はみんな君を放っておかない高嶺の花
君は思わせぶりにまた微笑む
僕をこんな気持ちにさせて・・・
 
その手に触れられそうで触れられない
まるで草原の蝶々、花畑で捕まえたい
君は酔ってフラフラ、フワフワ上の空
記憶はめぐるメリーゴーランド
お互いの古い傷も薄れていく
誰より、ほら僕を見て
 
 
 
突然の春の嵐のみたいに
全てを巻き上げて変えていく
風に揺れた長い髪をかきあげ
ほのかな君の香り、僕にだけ感じさせて
首に光るネックレスそんなのはずしてあげる
君は僕だけの誘惑の天使
金縛りみたいに動けない君をそっと抱いた
見上げた顔にキスをして
唇から伝わる僕と君の情熱
やっと僕だけの君
僕だけの誘惑な天使
別れのエアポート  高鳥奈緒   2024.2.23
 
1.
後ろ姿が小さくなる
次はいつ会えるのかしら
あなたの背中が悲しくて
たまらなくこみあげて
涙で見えないわ
 
2.
エアポートのデッキで
悲しいときは空を眺める
それが癖になって
どこまでも広がる空の下
あなたと同じ空の下。
 
 
3.
二人だけのラブストーリー
また会う日までの約束を
いま離陸した飛行機が
あっという間に飛び去って
遥か彼方の雲へと消したの
 
(繰り返し)
消したの、飛行機が、あなた、
あなたを祈るなにもかも
消したの、飛行機が、あなた、
あなたを祈るなにもかも
貝になった私の愛  高鳥奈緒   2024.2.23
 
恐れも知らずに、この恋に飛び込んだ
未熟にも愛の海に溺れた私
たったひとり沈みゆく海の底
ゆっくりと、ゆっくりと沈む
報われることもない
哀しく泣きながら
 
愛の海に沈んでいく
それでもなお貴方を祈り
潔く微笑んでみせるのよ
貝になる日まで
これでいいと自分に呟く
貝になった私の愛
病床十題  濱野成秋   2024.2.22
 
 心臓にやや圧迫感あり。近隣の病院へ。直ちに手術を言い渡され戸惑いながら入院となる。この病床、果たして真の深層はいかに。その真相知れずして、かかる古びた病棟にて切開手術を宣告されることの不安感は募りて止まぬ。
 
  ふと問ひし院に囚われこの三日
     生気も消え失せ死出の旅路か
 
  ごうごうと唸る天井硬ベッド
     明かり真上で深夜も眠れず
 
  わが命父母に貰ひし余生まで
     総て奪ふかそが営みか
 
  いや出さぬ退院などは在り得ぬと
     睨む医師の眼いかに読むべき
 
  死の重さ生きたる日々を知りもせず
     画像の解析嘘かまことか 
 
 
 
  古き器具古きトイレに尿瓶もて
     点滴ゆるゆる哀弱ひどし
 
  コレステ除去して血管拡張
     糖分高しで衰弱はげし
 
  院脱しよろめく足でスーパーへ
     ウナギ食へれば力もつくか
 
  治療室肉體処理のゴミ捨て場
     友ら忘るな臓器うんぬん
 
  甘いジャム糖分でんぷん盛だくさん
     日々憔悴し切開近しか
 
 納得ずくの入院であれば我が運命さだめと諦めもするが、偶発入院ではとうてい我慢ならず、数日後、セカンド・オピニオンの口上にて退院できた。目下都内の最新設備の院にて、脈拍測定も何もかも正常にて検査中。
春のバレリーナ  高鳥奈緒   2024.1.29
 
すべてが目覚め心弾むよ
花の香りが辺りを漂わせ
景色は色鮮やかに明るく華やか
冬の寒さの中でも下準備している。
 
硬いつぼみが一気にほころんで
今にも咲く時を待つ
それは初舞台の幕のわきで
出番を待つバレリーナのよう。
 
期待と不安に緊張しながら
ずっと練習してようやく本番
ポーズをとって待っている
煌めく世界へと、さあ、いま咲くよ!
 
夢では終わらない
春はバレーの幕開けみたいに
踊りだし歌いながら歓喜に満ちる
春の心は花びら巻いて踊り舞う。