生きるって  高鳥奈緒   2023.7.26
 
生きるって・・・たんたんと
生きるって・・・ひょうひょうと
生きるって・・・流れに逆らわないこと?
生きるって・・・ありのままを受け止め
たんたんと
ひょうひょうと
生きるってことなのかもしれない
青いイトトンボ  高鳥奈緒   2023.7.5
 
あの葉の上に止まったよと
指さす私に
どれ?というあなた
あれはイトトンボだよと
あなたが教えてくれた
 
細く青く光るイトトンボ
かよわそうに一瞬ふわりと高く飛んで
また、後ろ髪を引かれるように
わたしとあなたについてきた
 
青いイトトンボ
知らぬ間に姿を消した
青いイトトンボ
今はいずこに・・・
幸せの風船  高鳥奈緒   2023.7.8
 
街で見かける恋人や家族たち
みんな幸せそうに微笑む
昨日までの私もきっとそうだった
いつも、普通の幸せが欲しいだけなのに
わたしの幸せの風船
また放してしまった
 
空高く飛んで小さくなって消えた
なすすべもなく立ち尽くす私
虚しくて心は空っぽ
あるのは、この手に残された感触だけ
忘れないその指の感覚
またひとりぼっち
愛の変形  高鳥奈緒   2023.7.8
 
いとおしいひとよ
これで楽になったのかな
あなたの出した答え
まだ納得できない
だって一方的だったから
 
苦しみを手放して
苦しみが消えたおつもりなの
受けた私はもっと苦しい
きれいごと言わないで
カッコつけないでよ
罪だわ残酷よ、そんな愛の変形は
 
卑怯よ、みっともない卑怯者よ
そうは思えど、まだ貴方を憎み切れない
すべてを犠牲にした私には
貴方を失ったいま
もうなにも失うものはない
 
残されたものは
置き去りにされたこの想いだけ
夏が始まる蝉の脱け殻
からっぽなのに心が疼く
想い出がいっぱいで歩けない
本当の貴方ってなんなの
このいとおしさをどうすればいいの
雨宿り  高鳥奈緒   2023.7.7
 
突然の落雷に驚いた夏の夕立
下校途中の土砂降りに
傘もなくて慌てて軒下に
偶然あなたと二人
濡れたワイシャツ
とっさにあなたが差し出したハンカチ
ありがとうと御礼言って拭うわたし
 
あなたは自転車を端に寄せて
二人して困った空を見上げていた
気まずく時間が流れていく雨宿り
胸の鼓動を感じて恋した夏の到来
段々と雨が弱まって
見上げた空には虹がかかった
これから二人の夏が始まる予感